香港に引っ越して来て、参加する事が多くなったイベントの一つに、チャリティー•ディナーというものがあります。
主催する団体は都度違うけれども、
例えば不遇な人々(カンボジアの子供たち、難病患者)や
社会問題(環境破壊、パレスチナ紛争)や
可哀想な動物達(フカヒレス-プにされてしまうサメ、香港の珍しいピンクのイルカ等)
を救う事•支援することを名目とし、煌びやかなセッティングでディナーをし、そのチケットの売り上げやオークションで上がったお金を主催している慈善事業に寄付する、、、
というような催し物です。
最近の例でイメージ図:
先月開催された、ホワイトカラーボクシング大会にて。 【ボクシング観戦 x 難民支援】のチャリティー。
気がつけば香港に来てから大体なんらかの形で2、3ヶ月に1回は参加するこの系統のイベント。
色々と出席しているうちに、観察しながら面白い発見が幾つかありました。
以下、個人的な考察ごと:
—皮肉な事に、地味でつつましいイベントより、豪華絢爛できらびやかなディナーの方が圧倒的に成功している。 (「成功」は「最も寄付金を集めること」、、ということにします。)
たまにランチのパターンもありますが、女性がイブニングドレスを着て来れるような格調の会合がベスト。
ゲストに贅沢をさせ偽善の罪悪感をあおろうとしているのではなく、単にキラキラしたイベントの方がゲストの気が大きくなり、太っ腹な寄付をする可能性がアップするのではないかと。
(もしくは高価なチケットを購入している時点で、単に可処分所得の高い富裕層の集まりだ、、という説もあり。)
—投入されるワインのボトル数と、落とされる寄付金の額は比例する(当社比)
基本こういうイベントだとドリンクはフリーフロー(飲み放題)なんですが。酔った勢いで気が大きくなって、多額の寄付金を落とし、 オークションで高額の競りをするのでこれはとっても重要なポイント。
—主催団体の活動主旨と、イベントの成功可否に相関関係はない。
例えば、「東南アジアの貧困児を救う会」が「難病患者を救う会」より求心力があるかといえば、そうではない。
—最も重要なのは、主要参加ゲストの懐具合と、ノリ。
ノリは、上記のお酒の回り具合に非常に依存する。
—チャリティーイベントで一番重宝されるのは、社交のベテランの夜の蝶でもなく、敏腕インスタグラマーでもなく、とにかく
「お金を沢山持っていて、同じくお金を持っている&そのお金を寄付してくれそうな友達をたくさんゲストとして連れて来てくれる人達。」
—寄付もオークションも、基本ノリ。
シラフだったら購入しないであろうような「限定モデルのヨット」だの「ボルドー5大シャトー、ベストヴィンテージセット」とか「タイ•サムイ島のプライベートヴィラでの一週間滞在、執事付き。」も、
お酒の入り具合とその場の雰囲気次第では入札額はどこまでもうなぎ上り。
如何にうまく欲しがらせるか、、というのはMCの腕の見せ所でもあり、如何にうまく参加者の面子を揃え、マネー発散の相乗効果を生み出せるようなセッテティングをするかというのは、企画者の腕の見せ所。
—ゲストがチャリティーディナーに出席する主要動機は、「人に誘われたから」。
ここでいう「人」は各業界で影響力が強い人。企画側も、上手くこういうインフルエンサーを絡ませるようにしている。
「団体の活動主旨」は、上記の要人にとっては検討ポイントだけれど(例えば、本人がアラブ出身だったら、中東の紛争解決は関心度が高い問題。)その他大勢のゲストにとっては、あまり重要なことではない。
—ゲストが寄付する動機は「団体の主旨に共感したから」、、というのは実はものすごく少ないんじゃないか、と観察しながら感じてて。
寄付動機は、ノリ:40%、 社会的認知の為:30% 節税の為:30%
、、、くらいの割合なのではないかと。(当社比)
私、香港に来て一番最初に行ったチャリティー•ディナーが確か、なんらかの海洋動物を保護する団体の主催するものだったと思うのですが(クジラか、イルカ、、?)。
当時はまだ世間知らずで、もっとアカデミックな催し物を期待していて少々幻滅した記憶があります。
「海の生態系や、生き物を取り巻く環境問題についてもっと教えてくれるかと思っていたのに、なんなのこの華美で放埒なイベントは….? これは偽善だわ!」
、、、みたいな心境。