ここしばらく、仕事でもプライベートでも新しい人と出会う機会がとても多いのですが。
「どうして会社始めようと思ったの?」
「なぜオーガニック食品を?」
というような質問を、初対面の人に毎度されます。
今週だけで20回くらい、就活中の学生並みに志望動機を問われた気が。
そんな問答中に浮かび上がる疑問
「動機ってそんなに重要なのか。」
私は社長ではありますが。
会社は「卸売りをする有限会社」なので日常業務上、実は消費者や株主の前で「当社のミッション•ステートメント」みたいなカッコイイことを発表する場面がありません。
スーパー、ホテル、カフェといったところが弊社の主要顧客なのですが。
彼らには「私自身のこのビジネスを始めた動機」について聞かれる事はなく、主に商品そのものについて、そして買うことによってどんなメリットがあるのかといったことを話します。
「会社の方向性や企業理念」についても多分彼らは興味が無くて、関心があるのは「今、目の前にある取引」です。
社会一般通念として「成果」とは全く別に「高貴な動機」「不純な動機」という考え方があるように感じてて。
例えば、起業の動機なんですが。 正直、本音はこれ。
「香港に来てニートだったから、なんらかの方法で職を確保して一発当てないとマズイと思ってた。」
「Mrs.ナントカというポジションのみの人生だったら、死にたくなるから。」
【過去記事】ミセス・◯◯だけの人生は嫌。
でも、、、
これは一般的には相当「不純な動機」で、公にアナウンスしたら全く消費者の共感を得られないんですよね。
そして実際そう言ってみると、パーティーで新しく出来かけた友達の脳内後ずさりが聞こえてくるよう。
起業家の交流会でも、ちょっと冷めた目線がかえってくるのを感じます。(「ユメがないのね」みたいな。)
一般受けしやすいのは例えば、
「ひいお爺さんの代から有機農園を経営していて、小さい頃からこの味を世界に届けるのが夢でした」
「幼少時代から体が弱かったこともあり、健康は財産だと信じているんです。 食品という形でお客様に健康的なライススタイル提案するのが自分の社会的使命だと思います。」
みたいな、情熱に溢れたパーソナルな美談。(イメージ)
上記みたいな、建前用動機を考えてもみたのですが。ウソをつくのがとても下手で、どうも信憑性を醸し出せません。
後、私はザックリいうと「輸入した誰かの商品を、どこかに売る仕事」をしていますが。
同業種の仲間を見渡して(多分)最も尊い、もしくはレベルが高いとされるのが「自分がモノ作りをする。」 系の起業。
更に言うなら、誰もみたことのない商品、存在しないサービスを、雄大なビジョンのもとに作り上げて社会に提供するタイプ。
「香港初、ロー・スナック菓子シリーズ」
とか
「グルテンフリー・ビーガン向けベーカリー」
とか。
「それ需要あるの?」と一瞬思うようなものでも、斬新なアイディアでビジョンが美しければ、とりあえずはメディア・大衆ウケします。
そして他にソーシング(商品調達)業務に関しても、
「私が直々に山を越え海を渡り、やっと入手ルートを確保した秘伝のスーパーフード◯◯」
といったドラマチックな話の方が
「うちに熱心に売り込みをかけてきたサプライヤーの商品◯◯に市場可能性を感じたので、試しに展開してみることにした」
という平凡な真実よりも、格上に訴求力が強いというかんじ。
弊社のモットーとしては、基本的に「良いものを、ニーズのあるところに、適正価格で市場に提供すること。」が重要で、私の商品に対する個人的な思い入れとか、ソーシングの方法なんてたいした問題でないと思っているのですが、、
そんな感じで今まで、ずっと不純な動機で発足した会社経営してて、毎度自己紹介のときに若干肩身の狭い思いをしてきた私ですが。
ここ2ヶ月で「情熱と美しいミッションの権化」のような同業他社が3社も廃業になったことを知り、開き直る事にしました。
重要なのは「仕事を始めてから」であって。
底なしマーケティング予算を消滅させて、倒産後も債権者から逃げ回っているようでは、ダメです。 ←ビジョンばかりが先行してしまって、ビジネスとして成り立ていなかった、と関係者談。
だって、 不純な動機で発足した私のビジネスも。
今だからこそ、不純よりはちょっと上めな発想が浮かぶ訳で(例えば、、この業界のシステムを一通り理解して思うのは、「食べ物ごときが、本来そんなに高価であってはいけない」ということ。良いものをいかに消費者に安価に提案するか、というのは来年度のテーマの一つ。 後、健康を売りにしてる商品は沢山あるけど。美味しくなければ食品としての最低要件を満たしていないじゃないか!という憤りとかも。)
動機なんて、行動しながら見つければいいです。
昔、「全ての動機は不純である」と言い切ってた偉人がいた気がする。(誰でしたっけ、、)
「モテるために、ギタリストになった」でいいじゃん。
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